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04話 遭遇

    はぁっはぁっ…

    疲れた…

    もうどれくらい歩いたんだろうか

    僕はもう許されてもいいよね…

    あぁ、電池が切れる

    そろそろあるけ…ナ……ガガッ


    《予備電源ガ稼働シマス》






    ピチャン…ピチャン…
    下水道の天井から漏れた水が頭に落ちてくる。
    俺達が逃げ込んだ通路は不衛生極まりない場所で、汚臭が酷く、気が狂いそうだった。
    「こんな場所あったんだな」
    「ほら、6年前の戦争あったろ?この学園はその前からずっとあってさ。当時一番強かった生徒会長を逃がすための通路だろうって言われてる」
    逃げるための道。ただ逃げれればいいと思っていたのか、壁にはヒビが入り天井からは砂がパラパラと落ちてくる。今にも崩れ落ちそうな道だった。ただただ通れれば良いというような作りだった。
    そして俺達はその長い長い道を歩いた。途中分かれ道もあったりしたが道順が書かれた看板が立っていたので迷わずに何とかなった。きっと他の出入口もあるのだろう。
    歩き始めて15分くらいだろうか。
    「着いたぞ」
    茅秋に声をかけられ天井に目を向けるとそこには扉があった。俺の部屋にあったのと同じ扉だった。
    いざ開けようと鍵に手をかけようとした時。
    “コンコン”
    と扉の向こうから音がした。その音は次第に激しくなってゆく。
    「なぁ、茅秋。嫌な予感がするのは俺だけか?」
    「いや、お前に同意するよ。俺も嫌な予感がする」

    『せんぱぁーい!開けてくださいよぉ!』

    「嘘だろ」
    俺はそう一言言って一目散に今来た道を引き返した。来た時にあった道しるべも帰りには無くて。どの道を通ればいいのかもわからず俺達は無我夢中で走った。



    「はぁ…はぁ…ここまで来たら大丈夫だよな…」
    「あいつ、なんなわけぇ…?俺までとばっちり食らってんじゃねぇか…」
    体力も限界に近づき、俺達は走ることをやめ、休憩をすることにした。
    休憩している間、俺は茅秋に弾丸入木のことを話すことにした。

    「ってことはさ、ただのストーカーじゃねぇか」
    「やっぱりそう思う?でもストーカーってコソコソやるもんじゃね…?」
    「きっとストーカーにも種類があんじゃねぇの?」
  そんな話をしている時だった。どこからかギッ…ギッ…という音が聞こえてくる。その時俺の指先になにかヒンヤリとしたものが触れた。
    「うわっなんだこれ…油か…?」
    その液体は独特な悪臭を発していた。調理用の油や機械に使うオイルなどは小さい頃に何度も見てきた。しかしこの油は1度も見たことがなかった。
    俺達は悠長なことをしている場合では無かった。不気味な音は俺達が話している間にも段々大きくなっている。しかし俺達は逃げることをせず、興味本位でその正体を見てみることにした。
    音は、突然止まった。

    「ダ…れ?」
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